少子高齢化や先祖供養の意識の変化から、供養は多様化とともに低価格化が進み、コスパを追求した選択も可能になった。だがその結果、故人を思う「心」を置き去りにし後悔する人もいる。ファイナンシャルプランナーでもある「FP住職」に供養のコツを聞いた。
分岐点になるのは、自分が入る墓をつくるかつくらないかだ。実家のものを「墓じまい」して家の近くに「改葬」する場合や、そもそも墓がないため新たにつくる場合は、墓地を探さないといけない。ファイナンシャルプランナーであり、埼玉県で真言宗のお寺の住職を務める高橋泰源さん(58)が言う。
「墓をつくる場合の選択肢は基本的に三つです。お寺に付属した『寺墓地』、『○○メモリアルガーデン』などと名前がつけられている民間霊園、自治体などが運営する公営墓地。民間霊園と公営墓地は僧侶を自由に選べますが、寺墓地はそうはいきません。住職は取り換えることができませんから。良心的な僧侶なのか、自分と相性が合うのかなどを、見極めないといけません」
その見極めに使えるとするのが、「『さしすせそ』の法則」だ。
「『さ』は作務衣です。僧侶が掃除や雑用をする際に着る仕事着ですが、それなりに着ふるされているのが普通です。もし住職の作務衣がきれいだったら、掃除などをしていない可能性があります。ブランド物などは論外ですね」(高橋住職)
「し」は車庫。もし住職の自家用車がドイツ製などの高級車だったら、それなりの収入があることを示している。戒名料や法要のお布施も、それなりの出費が必要になる可能性が高い。
「す」は寿司桶。土日などに僧侶の居住スペースの玄関に寿司桶が頻繁に置かれていれば、これも要注意という。
「寿司屋はお寺の名前が入った領収証を置いていきます。家族で食べたものをお寺の経費で落とす公私混同をしている可能性も否定できません」(同)
「せ」は接客。自分の宗派の名前を言えない僧侶はいないが、宗派の教義をわかりやすく説明できる人は多くない。つまり、話しぶりなどで勉強度合いがわかる。