人生100歳といわれるような超長寿時代の到来は猫にも訪れている。今では、20歳で元気に過ごす猫も珍しくなくなった。うちの子もあやかりたい! ライターで愛玩動物飼養管理士の中村千晶氏が全国各地のご長寿猫さんを訪ね、その健康管理の秘訣を探った。
* * *
北海道で暮らす、シャムミックスのチャコさん(メス)は21歳。20年前に血尿が出たことがあるが、以来病気知らずのスーパーご長寿さんだ。飼い主のHARUさん(40代)によれば、若いころは野原を駆け回り、小鳥を捕まえたり、エゾリスのしっぽをくわえたりしたワイルド派。いまもときどきHARUさんと家の近くを散歩する。
「病院へは避妊手術と血尿のときの2回だけ。定期健診は病気の早期発見・治療に役立つとわかっていますが、ストレスを与えたくないので極力控えています」(HARUさん)
チャコさんのように、愛猫が健やかに20歳超えをすることが、多くの飼い主の願いだろう。一般社団法人ペットフード協会によると、2018年の猫の平均寿命は15.32歳。人間に換算するとおよそ76歳で、6年前と比べて1歳延びた。成猫の1歳は人間の4~5歳分。18歳は88歳、20歳は96歳に相当する。フードの品質が画期的に向上したことや、医療の発展により、猫の寿命は延びている。
なによりご長寿猫に共通するのは「ストレスフリー」だと日本橋動物病院(東京都)院長の園田開獣医師(47)は言う。
「生活に刺激が少なく退屈していたり、不活発な猫には、病気のリスクは高くなります。飼育猫が本来の猫らしさをもって生活できるように、生活環境やライフスタイルを整えることもご長寿の鍵です」
持病があっても元気に過ごす秘訣を「ストレスフリー」だと答える飼い主さんもいた。
東京都のルルくん(17歳、オス)は14歳の定期健診で「初期の腎不全」と診断された。だが、フードによるケアで3年間、初期の状態をキープしている。ルルくんの最近のお気に入りは庭のパトロール。