飼い主で、雑誌の編集者、ペット栄養管理士の資格を持つ奥田直樹さん(41)はこう話す。

「ルルの3大欲求は『おやつ』『フード』『庭』。その欲求にできるだけ応えることで、健康寿命が保てていると思います」

 健康に配慮しつつ、常に猫の気持ちになり、その要求に応えることが、ご長寿の秘訣なのだ。

 とはいえ、猫がかかりやすい病気を知り、その対策やケアを理解しておくのは健康長寿への第一歩だ。

 東京都のミウさん(20歳、メス)はかかりつけの病院に会員登録し、毎月の定期健診とケアを受けている。飼い主の大山幸子さん(63)は「基本的には必要以上に構わないように気を付けている」と話す。

「ただ、ミウは上気道感染症、腎臓病、歯周病を持っているので、食欲の低下や嘔吐、呼吸の変化などに気づいたら早めに主治医の診療を受けアドバイスをもらいます。不安のままでいるよりも相談や診察を受けて、安心して見守っていきたいのです」(大山さん)

 長寿猫に圧倒的に多いのは「腎臓」の病気だ。10歳を過ぎて「食欲がなくなった」「やせてきた」という場合には、ほぼ腎臓病(腎不全)が疑われる、と園田獣医師は言う。

「つまりご長寿の鍵は『腎不全対策』なのです」

 猫の腎臓病にはまだ特効薬がなく、初期段階で食事療法によって症状を抑えることが第一。だが、子猫のころから腎臓ケアフードを与えることはできない。

「腎臓ケアフードは基本的にタンパク質摂取を制限。タンパク質は体作りに欠かせないので、成長期にフードでケアすることは難しいのです」(園田獣医師)

 年齢に合わせたフードを選び、10歳くらいから血液検査の数値を見て、必要に応じて腎臓ケアフードを与えていくのが最良だ。そのため定期的な健康診断は有効といえる。

「猫が食べなくなってから病院に行っても、当然ながら食事療法をすることができません。症状が出る前に健診でなるべく早く察知すれば、食事療法を早めにスタートできます」(同)

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