サッカーJ2最終節の11月24日、横浜FCが愛媛戦(ニッパツ)で2-0と快勝し、自動昇格の2位で2007年以来13年ぶりのJ1昇格を決めた。翌25日のスポーツ紙を大きく飾ったのはこの試合に後半42分から出場した「キングカズ」ことFW三浦知良(52)だった。4月7日の福岡戦(ニッパツ)以来231日ぶりの出場で、自らが持つJ2最年長出場を52歳8カ月29日に更新した。
ただ、今季の出場は3試合の出場のみ。来季も横浜FCで13年ぶりのJ1でのプレーを心待ちにするファンがいる一方で、
「戦力になっていない。決断する時」
という声も聞かれる。
経験ではカバーできない体力の衰えは当然ある。カズのプレーを目にした専門紙の記者は、こう分析する。
「走り方、スピードを見ても正直ちょっと厳しいなとは思う。あと試合に出ていないという部分も大きい。緊張感のある公式戦でプレーすることで、体のキレとか研ぎ澄まされる部分がある。個人的にはカテゴリーにこだわらず、カズが試合に出続けたらどのようなプレーをするのか興味がある」
ネット上でも、
「おめでたいことではあるが…。本当にJ1で勝ちにいこうと思うなら残念だけど、カズの出番はないだろうね。カズ自身も試合に出たいと思っているだろうから移籍すべきでは? J3なら欲しがるチームはあるはず」
「カズは生涯現役を公言している。J1でプレーして引退の花道を飾るという考えではないと思う。それならば今はチームの戦力構想から実質外れている。プレーできる環境にこだわってほしい」
という意見が見られた。
「客寄せパンダ」と揶揄(やゆ)する見方もあるが、プロは人気商売だ。カズがいたからこそスポンサーが集まり、チームを強化できた側面がある、また、誰よりも練習熱心でベンチから外れると本気で悔しがり、24時間サッカーに捧げるストイックな姿勢が若手にもたらした影響力は計り知れない。
横浜FCのサポートからは、来年もカズとの共闘を熱望する声が多い。
「カズがベンチに入ると若手の1枠がつぶれるという意見はあるけど、それは違う。圧倒的な力を見せればベンチにも入れるし、スタメンで起用される。今の横浜FCは全員の選手にチャンスが平等にある。カズは今年悔しい思いをしただろうけど、来年はJ1のピッチで意地を見せてほしい」
「カズさんがいたから、J1にいけた。グラウンドにいてもいなくてもその絶大な存在は変わらない。来年もJ1で一緒に戦ってほしい」
今までも幾度の逆境を乗り越えてきた。キングカズの前人未到の挑戦は続く。(牧忠則)
※週刊朝日オンライン限定記事