プレミア12決勝・韓国戦の一回、2点本塁打を浴びた先発山口俊(中央)のもとに集まる日本の選手たち(C)朝日新聞社
プレミア12決勝・韓国戦の一回、2点本塁打を浴びた先発山口俊(中央)のもとに集まる日本の選手たち(C)朝日新聞社
プレミア12優勝を決め、目元に手を当てながらマウンドに向かう稲葉篤紀監督(C)朝日新聞社
プレミア12優勝を決め、目元に手を当てながらマウンドに向かう稲葉篤紀監督(C)朝日新聞社

 結果だけを見れば申し分ない。野球の国・地域別対抗戦「第2回プレミア12」で日本が11月17日の決勝戦で韓国に5-3と逆転勝利し、2009年の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)以来10年ぶりに国際大会で優勝を飾った。韓国は来年の東京五輪でも立ちはだかる強敵だ。15年の第1回プレミア12準決勝で敗れた宿敵にリベンジを果たしたことは、大きな価値がある。

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 ただ、稲葉篤紀監督の采配には賛否両論の声がある。打線が奮起したため致命傷にならなかったが、疑問の声が多かったのは決勝戦で巨人・山口俊を先発に抜擢(ばってき)したことだ。

 山口は1次ラウンドのベネズエラ戦、2次ラウンドの豪州戦に先発したが、先取点を許すなど今大会は調子がいま一つだった。また、スタメン発表で報道陣が驚いたのは、巨人でもバッテリーを組んでいる小林誠司でなく、広島・会沢翼が起用されたことだった。

 大一番で初のバッテリーを組むことに、

「山口は繊細な性格。あうんの呼吸で投げられる小林でなく、なぜ会沢にしたのだろう」

 と心配の声が上がったが、その不安は的中した。初回に2被弾で1回3失点KO。好調を維持していたDeNA・今永昇太が中3日の登板で起用できなかったチーム事情はあるだろう。ただ、2番手のソフトバンク・高橋礼が2回無死点と好投しただけに、スポーツ紙デスクは手厳しい評価だった。

「高橋を先発にするべきだ。バッテリーを含めた人選が理解できない。短期決戦では調子の良い選手を起用するのが鉄則。今回の優勝は攻守にミスが目立った韓国に助けられた部分もあった」

 稲葉監督を勝負師として評価する声もある。プロ野球で監督経験のないまま代表監督に就任したが、決勝戦で山口を初回で降板させたように、迷いなくカードを切る。1次ラウンド初戦のベネズエラ戦では調子の上がらない巨人・坂本勇人に代えてヤクルト・山田哲人を代打に送った。

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苦渋の決断だった