「苦渋の決断だった。でも、チームが勝つため勇人も分かってくれていると思う」
と振り返ったこの采配が功を奏し、逆転勝ちにつなげた。選手時代から先輩に愛され、後輩に慕われる人格者は監督になっても変わらない。
15年にテレビ朝日系の「報道ステーション」で、稲葉監督がキャスターとして大リーグ・マーリンズ(当時)のイチローと対談した際、イチローが、
「ボクが何をやっても得られないものをお持ちなんですよ。稲葉さんって徳が高いじゃないですか」
とその人柄をたたえていた。
「稲葉さんの下でプレーしたい」
という選手は多い。厳しい評価も期待の表れだ。指揮官は今大会で優勝した後に涙を流したが、東京五輪では金メダルを獲得して満面の笑みを見たい。(梅宮昌宗)
※週刊朝日オンライン限定記事