アニメ「バジャのスタジオ」の一場面。バジャ(右)とガーちゃん (c)株式会社京都アニメーション All rights reserved
アニメ「バジャのスタジオ」の一場面。バジャ(右)とガーちゃん (c)株式会社京都アニメーション All rights reserved
ホウキ星の魔女のココ (c)株式会社京都アニメーション All rights reserved
ホウキ星の魔女のココ (c)株式会社京都アニメーション All rights reserved
仮面の魔法使いのギー (c)株式会社京都アニメーション All rights reserved
仮面の魔法使いのギー (c)株式会社京都アニメーション All rights reserved
京都アニメーションのお別れ会の会場へ向かうファンら=11月3日、京都市 (c)朝日新聞社
京都アニメーションのお別れ会の会場へ向かうファンら=11月3日、京都市 (c)朝日新聞社

 36人が犠牲となった京都アニメーションの放火殺人事件から3カ月以上たった。追悼式典とお別れ会が11月2~4日に京都市で開かれ、多くの関係者やファンが犠牲者を悼(いた)んだ。

【「ホウキ星の魔女のココ」や「仮面の魔法使いのギー」の一場面はこちら】

 事件では監督経験者や作画担当者ら数多くの才能が一気に失われた。そのことに改めて気づかされたのが、11月4日にNHK総合テレビで放送されたオリジナル短編アニメ「バジャのスタジオ」。「京都アニメーションの作品を見たい」というファンの期待に応えて、NHKが地上波としては初めて放送した。

 アニメスタジオの人たちと、そこで育てられているハムスターに似た生き物の「バジャ」を描いたもの。約20分のオリジナル作品で、キャラクターが生き生きと動き、ファンタジックな映像の中に、アニメにかける制作者の思いが詰まっている。

 NHKの放送では冒頭、次のようなメッセージが流れた。

「この作品は『世界中の人々、とりわけ子どもたちに笑顔になれるアニメを届けたい』という思いから2017年に京都アニメーションとアニメーションDoが、制作したものです。アニメスタジオで暮らすバジャと、ひたむきにアニメをつくる人たちの日々が描かれています。夢にあふれた作品を、お楽しみください」

 京都アニメーションのスタジオや制作者らをイメージさせるような、場面やキャラクターも登場した。制作者が役割分担しながらアニメを作っていく描写もあり、「アニメを届けたい」という思いが伝わってくる。

 エンドロールのクレジットには、事件で犠牲となった人たちも複数含まれていた。「三好一郎」名義で監督した木上益治さんや、マネージャーを担当した池田晶子さんらだ。京都アニメーションとアニメーションDoの「ALL STAFF」のクレジットもあった。

 作品の素晴らしさと、それを作った主な人たちがいなくなってしまったという現実を、多くのファンが改めて感じた。最後に流れた主題歌「手のひらを太陽に」の、「ぼくらはみんな生きている」という歌詞を聞いて涙した人も続出。ツイッターでは次のようなコメントであふれた。

「エンドロールで涙が止まらなかった」
「こんなに素敵で可愛くて胸暖まる作品を作る人たちが、あんなにも理不尽な仕打ちを受けるなんて」

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出演した声優の田村睦心さんも思わず「涙出そう」