高齢者らは暑さや寒さに弱い。エアコンが止まった部屋で孤立し、水分も取りにくくなれば、命の危険があるのだ。専門家はライフラインが途絶えることも想定して、飲料水や食料を備蓄しておくよう呼びかけている。ADI災害研究所の伊永勉理事長はこう指摘する。
「水や食料などは1週間分は確保したい。非常食を備蓄するよりも、『ローリングストック』を意識しましょう。普段食べているものを倍くらい置いておくのです。慣れていないものを災害時に急に食べようとしても、食べられないことが起こりうる。アレルギーの問題もある。非日常に備えるというより、日常に余裕を持たせるのが安心できる備蓄方法です」
防災都市計画研究所の吉川忠寛所長は、ライフラインの代替手段を備えるよう呼びかける。
「停電対策として、バッテリーや自家発電機などを備えておきましょう。電気で動く医療機器を使っている人は、バッテリーが必須です」
前出の三舩さんは地域で協力するよう訴える。
「停電で水が出ないような時は自宅にこもらず、避難して多くの人と一緒にいたほうがいい。地元の住民が高齢者らを普段から把握し、いざという時に助けに行けるようにすべきです。地域での給水訓練も重要で、マンション住民も参加しましょう。地域コミュニティーで助け合うことが必要です」
自然災害が相次ぐなか、私たちもいつ想定外の被害に遭うかもしれない。防災の基本は普段からの備えと地域の助け合い。今回のタワマンの問題をきっかけに、対策が十分か見直してみよう。(本誌・秦正理、浅井秀樹、多田敏男)
※週刊朝日オンライン限定記事