正直いえば、今の時点で私はタンポンを強くは薦められないが(漂白剤を使っている等の理由で)、それでも私の人生、タンポンによって解放された時間がたくさんあった。
初めてタンポンを使ったのは中学2年生の夏。プールに行く約束をしている友人と「生理になったらどうする?」と話しているとき、「タンポン使えばいいよ」と仲間の一人が教えてくれたのだ。しかも彼女はその場でみんなに1本ずつくれ、「練習しよう」とトイレに誘ってくれた。その日は誰も生理ではなかったけど、私たちは説明書を回し読みし、それぞれ個室に入り「いっせーのせ」と言いながら、タンポンを入れたのだ。今思えば、奇跡のような仲間だった。女友達と一緒に、自分の身体を知っていった。
そして時代の空気も「ウーマンリブ」の女性たちの「私の身体は私のもの」というメッセージの余韻が残っていたのかもしれない。あの時代、タンポンは、大人の女性の自由の象徴だった。
そんな空気を懐かしく思いながら、怖がらせてごめん、って彼女に思う。生理の話、これからしよう、もっとしよう。それは女性たちの歴史であり、私たちの人生の話なのだから。
※週刊朝日 2019年10月25日号