東京都心ではマンションが立ち並び、住民が近年増加している。マンションは手狭で、冷蔵庫も小さい世帯が多い。普段はスーパーやコンビニで夜遅くまで食品を買え、24時間の外食チェーンもある。便利な生活に慣れていると、災害時の備えが不十分になりがちなのだ。
もう一つのもろさは避難の対応。都心の住民には、地域との関わりが薄く、訓練に参加しない人もたくさんいる。今回の台風では東京23区でも避難指示や避難勧告が多数出されたが、ネット上では「そもそも避難場所がわからない」という声があった。
暴風雨の中、歩いて避難所に向かう方がリスクが高い場合もある。危険な場合は自宅でとどまるよう行政は呼びかけたが、判断は住民任せ。携帯・スマホの緊急速報メール(エリアメール)で避難情報を知らされても、どうしていいかわからず不安だけ高まるとの声もあった。
行政の経験不足もあって、トラブルが起きる場面も見られた。
例えば避難所でのペットの受け入れ。家族同然の犬や猫も連れて行きたいという人は多い。対応はバラバラで、同じ区内でも受け入れた避難所と、だめなところがあった。あきらめて自宅に戻った人もいたという。災害を経験している自治体では、こうしたケースに職員が臨機応変に対応しやすい。
ペットの問題は東京に限らず全国的な課題でもある。モデルのダレノガレ明美さんは13日、避難所で動物は置いてくるよう言われたとして、次のようにツイッターに書き込んだ。
「悲しいよね… 動物置いていくなんて選択肢ないな… アレルギー問題やいろんな問題があるから文句言えないけど、私や家族は避難しないで家にいるのを選んじゃった」
行政は受け入れ可能なところを用意し、飼い主に早めの避難を呼びかけるなどの対応が求められる。