大型の台風19号が上陸し、各地で大雨による被害が相次いだ。多くの河川が氾濫(はんらん)し、台風が過ぎた後も水が引かないところがあって、救助活動が続く。
総務省消防庁によると13日午後6時時点で、全国で死者は14人、行方不明者は11人、重軽傷者は180人を超す大きな被害となっている。避難者数は同日正午時点で約23万人だった。
北陸新幹線は長野市内の車両基地が冠水し、10編成、計120両が水につかった。全車両の約3分の1が被害に遭うという異常事態で、北陸新幹線の運転再開の見通しは立っていない。JR東日本は、「水につかった車両は最悪の場合使えなくなる可能性がある」という。運転が再開しても運行本数が減るなど影響は長引きそうだ。
全国で猛威を振るった台風19号。9月の台風15号では行政の支援が遅れたとの批判もあったことから、今回は万全の態勢で臨んだはずだった。特に台風の直撃が予想された東京では、早くから計画運休が決まり、避難所の準備も進んだ。
ところが、実際に台風が来てみると、意外なもろさが次々に明らかになった。
まずは計画運休によって住民が孤立化することだ。都内では地方と違って、車を持っている人が少ない。移動手段は鉄道やバスに頼っているため、いったん運休が始まると身動きがとれなくなる。
JR東日本は、「台風に備え過去最大級の計画運休を実施しました。事前に情報を公開しており、大きな混乱はなかった」との立場だ。確かに12日が土曜日だったこともあって、通勤客らによる混乱は目立たなかった。
だが、12日から13日夕方まで段階的に続いた運休の影響は大きかった。従業員らが出勤できないこともあって、都心のほとんどの小売店や飲食店が臨時休業。運転手らも移動できないため、最後の交通手段であるタクシーの台数もまばらとなった。物流がマヒし、営業している一部のコンビニでもお弁当やおにぎりなどの棚は空っぽ。都心部は人通りもなく、12日はさながら「ゴーストタウン」のようになった。
都心のマンションに住む40代の男性はこう嘆く。
「11日夜にコンビニに行ったが、すでに食料品などは売り切れていた。鉄道が止まっているのでどこにも行けない。普段から食料品を備蓄しておけばいいんでしょうが、正直困りました」