放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、『友成工芸』の「mas/mas」。
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青山学院初等部の1期後輩、片岡市蔵さんの「かたいち会」15周年記念パーティーにお招きいただいた。
著名な歌舞伎役者というと、どうしてもテレビでもおなじみの人たちになってしまいがち。でも、「地味だが本当にうまい」「きびきびしていて台詞がよく通る」「何をやらせても安定している」「市蔵が脇を固めると観客も、彼を指名した主役も安心できる」「役者としてはもちろん、指導者として歌舞伎界を牽引していける人」とファンは口を揃える。
青学は歌舞伎役者をはじめ、卒業生や在校生に有名人が多くいるが、私にとって「片岡市蔵」は誇りだ。
さて「楽屋の流行りモノ」と言っても、歌舞伎役者のそれは化粧品から弁当、贔屓(ひいき)筋への手土産まで、テレビ局とは大きく異なる。
例えば、「劇場でお渡しするモノは、お荷物にならないハンドタオルや一筆箋などにしています」とは市蔵さんの奥様の弁。もちろん、それらは定紋の「銀杏丸」や、松島屋の屋号にちなんだ「松葉」が描かれている「特製」だ。
「かたいち会」のパーティーでは、どんなモノがいただけるのかと楽しみにしていたら、『友成工芸』の「mas/mas」という一合升だった。メタクリル樹脂製のクリアな一合升で、説明書に「お酒を楽しんだり、お米を量ったりできる他、食器や小物入れとしてもご利用いただけます」とあった。
花器や、アクセサリー入れにも重宝するだろう。特に、「かたいち会」のお土産は、底に松葉が描かれているから、水を張り、花を一~二輪浮かべても素敵だろう。
この升は、『友成工芸』が取引先との「お花見」の席に出したら大好評だったことから商品化。もともとアクリル加工会社である同社だからこそのレーザーによるオーダー彫刻(100個から)が実に美しい。
他にも、インクジェットプリントによるプリントセミオーダー品は、企業のロゴやメッセージなどを入れて10個から注文が可能だ。
複数個を重ねても美しいし、お重の仕切りとしても便利。実は姉妹品として「OJU お重」も揃えている。
百貨店の催事で「日本酒イベント」があると、指名を受ける「mas/mas」。『第32回東京国際映画祭』で堀江貴文さんが仕切る日本酒のブースでも、この「mas/mas」が使われる予定だそうだ。檜や杉、塗りの升とは一味も二味も異なるクリアな「mas/mas」。ギフトとしても自宅用としても使える逸品だ。
※週刊朝日 2019年10月18日号