「森山氏は地元の地方選挙だけでなく、国政選挙でもあちこち動いていたのは事実。そりゃ、関電に森山氏が口添えすれば票が動く。関電が会見で『国会議員に人脈』と言っていたが、地元では誰もがそう信じるほど力があった」
関電との癒着、工事の受注について森山氏は、
「関電はよく知っていて、いろいろ話すことはある。その中で地元優先だとして、工事の金額が、ざっとしたものが出ることはある。けどそんな話は絶対に業者には言わない」
と工事の額を聞いたことがあると認めていた。
関電からの接待や便宜供与、森山氏からの金品提供などは、
「関電は役所のような会社だからできるわけない。(金品は)とらんでしょう」
と否定していた。
そんな中、当時、取材した原発関連業者が「うわさだが」と断ってこんな証言をしていた。
「関電のヤツが出世したから、祝いで手土産だといい中身は現金じゃなく金。舞鶴で有名な菓子折りの下に入れて渡す、小説か映画のような話もある。関電サイドは、返すに返せんって困っていた」
その業者に再度、連絡をとると、
「あのときはうわさとしてしか話せなかった。今覚えているのは、森山氏は有名貴金属店の上客。よく店の人が商品を届けていた。森山氏は『手ぶらじゃ何も教えてくれん』『町が発展し、もうかるのは関電のおかげ。還元してやらねば』と話していた。ワイロと思われても仕方のないカネを渡すことに抵抗がなかったようです。まわりで知っている者もいたようですが、『陰の町長』には刃向かえません」
この話が事実なら、関電が会見で繰り返し否定した原発マネーの還流、それを森山氏が認めていたことになる。
そして、関電から工事を請け負っていた土木建築会社「吉田開発」(高浜町)など2社からは、関電の豊松秀己元副社長、大塚茂樹、鈴木聡両常務執行役員が、吉田開発の顧問だった森山氏を介さずに、直接、計390万円分の金品を受けていたこともわかった。
関電はこれまで、森山氏から受け取った金品は「預かった」「不適切だった」としてきた。だが、直接、発注工事を受ける吉田開発などから金品を得ていたとなると、「事件」にはならないのか。