テイラー・スウィフトのニュー・アルバム『ラヴァー』は発表後、わずか2日で全米で50万枚を売り上げた。その記録もさることながら、前作『レピュテーション』の過激なイメージを一新。パステル・カラーを基調としたアルバム・カヴァーのデザインやテイラーの装い、ポップな音楽展開に注目が集まりそうだ。
テイラーは、1989年、米ペンシルヴェニア生まれ。カントリー・ミュージックに目覚めたことから、その本場であるナッシュヴィルに移住したという。2006年に「ティム・マックグロウ」でデビュー。『テイラー・スウィフト』(同年)はアルバム・チャートの19位にランクされ、ロングセラーとなった。
“大人の世界”を歌うカントリー・ミュージック界にあって10代の少女の心情を描いた自作曲や、ロック色の濃い音楽展開が評価され、若いファンの支持を得たことが成功要因のひとつになった。
2作目の『フィアレス』はグラミー賞の最優秀アルバム賞に最年少で輝いた。5作目の『1989』も同賞を受けている。
社会貢献活動に熱心で、18年のアメリカの中間選挙では、民主党支持を表明し、女性候補者の支持、性的少数者の権利やジェンダー・人種上の平等の獲得などをアピール。インスタグラムで有権者登録を呼びかけたことでも注目された。
今回の『ラヴァー』は、自身によるライナーによれば、ほこりをかぶった古い日記を読み返し“こんなにしょっちゅう、私が自分の愛する様々な出来事を綴っていた”ことが発端だったようだ。
“単にラヴ・ソングをテーマにしてるわけではないの。ロマンスについて考えた時、必ずしもハッピーな曲である必要はないと思う。孤独の中にも、悲しみの中にも、何かに葛藤している時でさえも、そこにロマンを見出せると思うから。新作はそういう様々な局面をロマンティックな観点で見つめたものになっている”とも記す。
アルバムからの先行シングル「ME!」。ブレンドン・ユーリー(パニック!アット・ザ・ディスコ)との共演で、行く先々でトラブルがついて回る厄介な女と自分中心に考えがちな男が、互いに言い争いながら、愛を告白する。マーチング・バンド風のドラムス、ホーンをフィーチャーしたシンセ・サウンドがポップだ。