林:すっごくお洒落なのに、そんなに安い生地なんて信じられないです。
角野:自宅(神奈川県鎌倉市)の近くに大きな布地屋さんがあって、バーゲンのときなんかすごく安いんです。ときどき散歩がてらに行って、いいなと思う生地があると買っておくんです。
林:鎌倉に住まわれて何年ですか。
角野:19年ですね。
林:お宅は海に近いんですか。
角野:歩いて7分ぐらいかな。
林:いいですね。ご執筆の時間は決めてらっしゃるんですか。
角野:たいてい10時半ぐらいから3時半か4時ぐらいまで書いてます。その間、メールの返事を書いたり、お昼ごはんもいただきますけど、できれば毎日それぐらいは書きたいと思ってるんです。
林:いま連載は……。
角野:してません。私、連載って原則しないんですよ。
林:書き下ろしのために毎日書いてらっしゃるんですか。
角野:そうです、たいてい。
林:ひぇ~、どうして締め切りもないのに毎日そんなにちゃんと書くことができるんですか。
角野:だって、毎日書くことがあるもの。それに毎日書いてると、話も終わるし。書く人には、タイプが二つあると思いますよ。林さんは集中力があってバーッと書かれるでしょ。私は畑を耕すみたいに、毎日毎日書くの。
林:日に何枚ぐらいお書きになるんですか。
角野:すごく書けるときもあるけれども、たいてい3枚か4枚じゃないでしょうか。
林:期日はきちんと守るんですね。
角野:いや、期日なんてないです。「書いたらお持ちしますから」というお約束はしてます。できそうになると、「あと3カ月ぐらいでできるかもしれない」ぐらいのことは言いますけどね。
林:出版社は福音館書店が多いんですか。
角野:福音館は最初、投稿から始まったんです。「子どもの館」という雑誌がありまして、そこに投稿したんです。
林:『魔女の宅急便』も投稿ですか。
角野:あれは私がお願いして、福音館の「母の友」という雑誌に連載させてもらったんです。編集の方が「短いものを書いてください」って来られたんですけど、「私、連載させていただきたいんです」って言っちゃったんです。「母の友」って本当は偉い方が連載するんですよ。そのころ、私はまだ実績なかったのに、お願いしたの。