とはいえ、使いこなすにはコツがある。デジタルツールやコミュニケーションに詳しいITライターの鈴木朋子さんは「SNSには、それぞれにコミュニケーションの暗黙のルールが存在します」と語る。
まずは、シニア世代に普及しているFBについて、実例とともにポイントを説明していこう。
FBは実名登録が前提で、自分の子どもが発信する情報を見たり、同窓会などに参加したりするために登録するシニア世代が多い。写真と文章で投稿するので、ほかのSNSよりも手間がかかる分、人間関係が密になりやすいという。
「恋愛のステップは、相手のプロフィル写真や投稿に『いいね!』をし、自分の存在を認知してもらうことから始まります。そこから、直接メッセージを送る機能を使い、相手に連絡するのです」(鈴木さん)
実名登録が前提なので、元恋人を検索する人も多い。その結果、再び気持ちが燃え上がるケースもある。
東京在住のミカさん(67歳、仮名)は40歳の子どもがアップする孫の写真を見るためにFBを始めた。個人の特定を恐れ、旧姓で登録。すると、大学時代に交際していた彼からFB内のメッセージで連絡が来た。
「もしかして、ミカさんでしょうか。あなたのお名前を拝見し、懐かしく慕わしく思っています」
彼は故郷で会社を経営しており、商談や展示会などで東京に来ることも多く、出張に合わせて会うことになった。
「すっかりおじいさん、おばあさんだけれど、お互い苦労をして、会っていると穏やかで懐かしく、しみじみとうれしくなるんです」
とミカさん。互いに夫と妻がおり、肉体関係には発展していないが、気心知れた異性として、良好な関係が続いている。
SNSを通じて恋愛をしているシニア世代に話を聞くと、FBで恋人を見つけたという人が意外なほど多い。
「FBには、フォローという機能があります。これは、相手と『友達』にならなくともつながれるというもの。フォローしたことは相手にもわかり、『あなたを見ていますよ』という意思を伝えることができるのです」(鈴木さん)