東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
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交流戦の開幕記者会見で記念撮影する(左から)阪神の大山、広島の野間、西武の源田、ロッテの種市 (c)朝日新聞社
交流戦の開幕記者会見で記念撮影する(左から)阪神の大山、広島の野間、西武の源田、ロッテの種市 (c)朝日新聞社

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、15年目となり定着した交流戦の利点を挙げる。

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 今年もプロ野球の交流戦がスタートした。セ・リーグとパ・リーグの球団で対戦する交流戦は今年で15年目。ファンの方々にも定着したと思うが、選手にとっては大きな刺激になっていると改めて感じる。

 開幕戦となった6月4日の西武―広島戦で解説した。ネット裏から試合前練習を見ていたが、西武の選手、コーチが広島の試合前のシートノックをじっくりと見ていた。セ・リーグを3連覇している広島は今年も5月に球団月間記録の20勝を挙げて首位に立った。その強さの秘密はどこにあるのか、試合前の準備の仕方はどうなのか、など参考になることはたくさんある。

 試合も白熱した。今の広島の4番・鈴木誠也に対しては、自身の球がどれだけ通用するのか、そして抑えられれば大きな自信にもなる。チームとして広島を倒せれば、セの他5球団とも互角以上に戦えるといった自信も芽生えるだろう。交流戦前時点で26勝25敗1分け、リーグ4位だった西武は、救援陣も踏ん張ってサヨナラで勝利を手にした。今後につなげてほしい一戦だ。

 交流戦は過去14年のうち13年でパが勝ち越し。2009年に唯一セが勝ち越して以来、9年連続でパが勝ち越している。すでに「パがなぜ強いのか」は議論し尽くされている。中でも「DH制の有無」の影響は大きい。投手にとって息をつく打順のないパでは、投手の力量は自然と上がる。レベルの高い投手に対して打者の技術も自然と高まる。その相乗効果は年々、大きな差となって出るものだ。

 かといって、セもDH制にすればいいとは思わない。それぞれの野球に特色がある。投手が打順に入ることによって、攻撃を重視するなら好投の投手に代えて代打も送られる。攻防一体で作戦を練る必要があり、そこにセの魅力がある。レベルの差を指摘するのではなく、野球の違いを受け入れてそこに楽しさを見つけるのも一つの魅力。ただセの選手は、この交流戦で個々の力の違いを肌で感じながら、個のレベルアップに努めてもらいたい。

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