巨人の菅野智之(C)朝日新聞社
巨人の菅野智之(C)朝日新聞社
巨人の高田萌生
巨人の高田萌生

 巨人の交流戦は、故障明けのエース・菅野智之(29)が命運を握る。

 テレビ局の番記者は、こう分析する。

「原(辰徳)監督が先発ローテーションをうまくやりくりしていますが、菅野が状態を取り戻さないと、首位浮上は見えてこない。今年は大量失点で降板するなど、菅野らしくない投球が続いている。心配なのはケガの再発ですが、交流戦で本調子を取り戻せば、チームも勢いづくでしょう」

 何かおかしい。今年、日本球界のエースに異変が生じている。4月25日のヤクルト戦(神宮)では青木宣親、山田哲人、バレンティンに自身初の3者連続アーチを浴びるなど、今季最短の四回途中7失点で降板。昨年のクライマックスシリーズ第1ステージで無安打無得点試合を達成して以来の神宮で大炎上した。

 5月15日の阪神戦(東京ドーム)でも自己ワーストの1試合4被弾で、六回途中10失点でKOされた。昨季は14被本塁打だったが、今季は8試合登板でセ・リーグ最悪の13被本塁打と、いとも簡単に長打をくらう。防御率も4・22(6月9日現在)に急降下した。5月21日、腰の違和感で出場登録を抹消された。

 昨年までの成績が圧倒的だっただけに、ファンも戸惑いを隠せない。2016~18年に史上2人目の3年連続最優秀防御率を獲得。17年から2年連続で最多勝、沢村賞も受賞した。不調の原因は何だろうか。

「体重の増加で下半身に粘りがないから球にキレがない」などと指摘する識者もいるが、腰の違和感は入団以来6年間で計1千イニング以上を投げた「勤続疲労」と言える。6月7日から1軍に合流したものの、3年目右腕・高田萌生が直前まで菅野の登板日に準備する「ツープラトン体制」。菅野の状態に慎重を期した首脳陣の配慮だった。

 菅野に無理をさせたくない一方で、先発事情は苦しい。結果が出ないヤングマンとドラフト1位左腕の高橋優貴が交流戦前にファームに降格し、田口麗斗を中継ぎから先発に戻した。6日の楽天戦(楽天生命パーク)で先発に抜擢した4年目右腕・桜井俊貴が先発初勝利を挙げたとはいえ、戦力として計算が立つと考えるには早いだろう。

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V奪回の不可欠な要素