林:まあ……、幸せな奥さんですね。でもリーダーは、ときどき意地悪なことも言うんでしょう? 「まだ生きてるのか」とか、毒蝮三太夫さんみたいに。

酒井:すごく言います(笑)。おばちゃんが客席から話しかけてきたりするんで、どんどんやりとりしていって、「そのおばちゃん、つまみ出せ」みたいなことは平気で言いますね。みんなワーッとなって、おばちゃんも負けじと「つまみ出せるもんならつまみ出してみなさいよ」って。そういう役を買って出られるおばちゃんがいるんですね。

林:テレビとか動画だけでは物足りなくて、そうやって肉声を求めてライブに参加する楽しみ方を見つけたんですね。でも、こんなにスターになっちゃうと、おばちゃんたちに「遠くに行っちゃったみたいで寂しい」とか言われませんか。

酒井:ええ、健康センターに行く回数がちょっと減ったんですね。杖をついたおばあちゃんとか、地元しか行けない方がいらっしゃるんですが、なかなか会いに行けなくなってるというのが現状なんですよね。

林:若い人はどうなんですか。おばちゃんだけじゃなくて、ファンの拡大もしないと。

酒井:若い人も増えました。10代とか20代の人がムード歌謡の「私バカよね」(「心のこり」)とか、「いつまでたっても駄目なわたしね」(「よせばいいのに」)みたいな曲を歌うようになってきて、若い人が握手会にあらわれるんですよ。「あなたいくつ?」「18歳です」「お母さんと一緒に?」「一人で来ました」って。

林:まあ、そうなんですか。

酒井:僕の中では計算外というか、わかんない人たちが出てきたなという感じがありますね。僕としては、ファンの拡大というより、「今日この目の前にいる人たちのことしか考えるな」とメンバーに伝えてるんです。健康センターとか500人ぐらいのキャパで、みんなと握手したりハイタッチできるような会場でやるのが本来の純烈であって、「どんどんでかくなっていくのが純烈だとは思うな」と言ってます。

(構成/本誌・松岡かすみ)

週刊朝日  2019年5月17日号より抜粋

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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