放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「SMAP×SMAP」について。
【「スマスマに出演したことが人生の転機だった」と語る有名人は?】
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メディアでは「平成最後の」と何にでも付けるので、もはや大喜利かと思ってしまう。このエッセイも書いている時点では「平成最後」になるので、今日は平成のテレビについて。
僕が平成で一番のテレビ番組だと思っているのは、自分が構成していたからというのは抜きにして「SMAP×SMAP」だと思っています。これにはちゃんと理由がありまして。番組開始は1996年4月。80年代後半に光GENJIがブレイクしたあと、昭和が終わると、平成の入りは、アイドル冬の時代。アイドルが出演する歌番組の減少などが一番の理由だと思います。そんな中から、アイドルがテレビの露出を増やすにはバラエティーしかないと、SMAPはバラエティーに身を投じることにより、「アイドル」×「バラエティー」という形を作っていきます。それまでもアイドルがバラエティーに出ることはありましたが、ゲストとして「ちやほやされる」というのがベース。
平成になってからはそれでは通用しない。もっと本気でアイドルがバラエティーに向き合う必要がありました。そこで先陣を切ったSMAPが徐々にブレイクし、ついに、96年に夜10時に番組が始まるのです。ちなみにですが、その春までテレビ東京で放送されていた「愛ラブSMAP!」の視聴率は5%くらいだったと思います(間違っていたらごめんなさい)。なので、スマスマが始まる前に、お笑い番組のプロデューサーに言われました。「いかにSMAPが今、勢いがあっても、この間までやってたテレビ東京の冠番組は5%だから。あの時間では絶対に無理だろ」と。
そう思ってる人は少なくなかったはずだし、うまくいくな!と念じていた人も少なくないはず。結果は初回で20%を獲得。この瞬間、テレビ界で大きな変化が起きたと思っています。ジャニーズのアイドルがゴールデンの番組の冠を張ったり、司会をしたりする。今では当たり前の光景ですが、96年、平成8年に「その時歴史が動いた」わけです。この番組の成功がなかったら、アイドルがゴールデンの番組のメインを張ることはなかったのではないかと思っています。