

感染症は微生物が起こす病気である。そして、ワインや日本酒などのアルコールは、微生物が発酵によって作り出す飲み物である。両者の共通項は、とても多いのだ。感染症を専門とする医師であり、健康に関するプロであると同時に、日本ソムリエ協会認定のシニア・ワイン・エキスパートでもある岩田健太郎先生が「ワインと健康の関係」について解説する。
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ワインにはどのような料理を合わせるか? いや、逆か。いろんな料理に、どんなワインを合わせたらよいのだろう。
ワイン・ラバーはまずワインありき、で飲みたいワインを先に決め、その後で事後的にワインに合う料理を考える悪い癖(?)がある。ぼくもなにかよいことがあったときは、ご褒美にちょっとよいワインを開けることはある。そしてそのワインに合わせて料理する献立を組み立てる。ボルドーの赤に、赤身の肉料理、とか。
しかし、一般的には食べる料理が先に決まっていて、それに合わせるお酒(ワイン、あるいはそうでないもの)を検討するのが、普通の流れではなかろうか。ワインはワイン・マニアよりも、そうでない人に消費されることのほうが圧倒的に多いのだから。
■大事なのは自分の感性に素直になること
では、料理に対してどのようなワインを合わせればよいのか。あくまでもぼくの個人的な意見だが、「合わせてみておいしければそれでよい」。各人でいろいろ試してみるのが一番よい。合わせておいしければそれでよいし、そうでなければ、「その人にとって」そのマリアージュは失敗だったのだ。
あくまで大事なのは自分の感性に素直になることで、自分の感性を教科書に合わせるのはよくない。ワインは一般に信じられているよりもずっと自由な飲み物だ。
とはいえ、自由ではあるが、ワインを味わうときに気をつけておいたほうがよいこともいくつかある。まずは大原則。食べ物を口に入れながらワインで食べ物を流し込んではいけない。理由は簡単で、これでは両者(食べ物とワイン)の魅力が半減してしまうからだ。