■「しまね留学」で志した高齢化社会の都市計画

東大工学部 鈴木元太さん 津和野(島根)

 中1の春まで北海道釧路市や旭川市に住み、その後、父親の仕事で横浜市に引っ越し、高校受験をして、市内の進学校に進んだ。

「理科が好きだったので、高校生を対象とした北大SSP(Super Scientist Program)に応募。年に4~5回北海道内で開催されるスクーリングやウェブミーティングを通して研究に取り組みました」

 高1では5~6回、東日本大震災の被災地でのボランティアに参加した。

「ボランティアを通じて地域活性化などにも興味を持ちました。高校生のうちに地方を活性化する活動をしたいと考え、『しまね留学』することに決め、高校の寮に入りました」

 島根県では、19の県立高校が「しまね留学生」を受け入れている。鈴木さんが入学した津和野高校は1学年定員80人のうち約3分の1が県外出身者。東大の合格者が出たのは27年ぶりだ。

「地域活動をする部活『グローカルラボ』の部長になり、更地に農園を作ったり、地域イベントに参加したり……。アイデアを練って町のために活動できるのが楽しかったです」

 高2のとき、「竹で築こう」プロジェクトが、マイプロジェクトアワードしまね大会代表に選出された。

「近年は人口減少や高齢化で、放置竹林が問題になっています。竹の文化を残すために、竹を使ったワークショップやイベントなどを開き、竹の活用、啓発、整備などに取り組みました」

 北大SSPの研究は続け、高2の冬には米国の学会に参加し、東京で開催された国際北極研究シンポジウムでは、「北極圏トナカイの周遊経路変化の要因について」と題し、研究成果を発表した。

 この発表後、受験勉強を始め、無料の町営英語塾HAN-KOHと、動画授業の「スタディサプリ」を活用。町営英語塾では推薦入試の書類作成のアドバイスを受け、面接練習もした。

 東大で都市工学や建築について学び、将来は研究者になる夢を描いている。

■模擬国連で全国優勝。将来の夢は外交官

東大教養学部 渡邊玲央さん 桐蔭学園中教(神奈川)

 父がフランス人、母が日本人。日仏語を使いこなす。

「文化や風習が違う二つの国を見て育ったおかげで、子どものころから多角的な視座で国際問題を見ていたと思います」

 中3の秋に模擬国連部に入部。高1の夏には校内選抜に通り、アメリカの高校に5週間留学した。高2の秋に行われた全日本高校模擬国連大会では「ジェンダー平等」の議題でアラブ首長国連邦大使を務め、誰ひとり取り残さない姿勢が評価され、最優秀賞に輝いた。

 全国大会の優秀者が出場する国際大会では、南米ウルグアイの大使を担当し、安保理を想定した会議で「選挙監視」を巡る問題について討議した。

「世界各地から集まった高校生たちの思考プロセスや議論の進め方などが興味深く、有意義な経験だった。外交官に憧れていましたが、国際大会に出場してからその思いが強くなりました」

 教養学部では国際関係論を専攻する。各国の政治、文化や歴史について理解を深めるほか、英語とフランス語に磨きをかけ、勉学に励みたいと意気込む。

「外交官になり、日本の強みを生かした外交政策の在り方を追究し、世界と日本の架け橋を担いたい」

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