墓地の空き区画。お墓のニーズは変わりつつある (c)朝日新聞社
墓地の空き区画。お墓のニーズは変わりつつある (c)朝日新聞社
墓じまいの主な流れ(週刊朝日2019年3月22日増大号掲載)
墓じまいの主な流れ(週刊朝日2019年3月22日増大号掲載)

 春のお彼岸は3月18~24日。お墓参りに行く人も多いだろう。自分はどこに入るのか、先祖代々のお墓をどう守るのか、悩みは尽きない。最近は墓じまいが急増し、金銭トラブルも起きている。お墓を巡る「死後の手続き」も含め、わかりやすく解説しよう。

【知っておこう!墓じまいの主な流れはこちら】

 お墓の管理は親や祖父母に任せきりで、家族そろってお墓参りをしたのはもう10年以上前。こんな人は珍しくない。家族のあり方は急激に変わっている。

 少子高齢化に伴い、核家族や単身世帯が増え、3世代同居の家庭は減った。東京など都市部への人口流入が続き、地方では過疎化が深刻だ。先祖から代々続いてきたお墓を守る人が、どんどんいなくなっている。

 地方の墓地では、次のような立て札があちこちで掲げられている。

「墓地整理のため無縁墳墓等について改葬することになりました。使用者(死亡者)の縁故者および墳墓に関する権利を有する方は、期日までにお申し出ください。なお、期日までにお申し出のないときは、無縁仏として改葬することになりますのでご承知ください」

 管理する人がいなくなり荒れ果てたお墓は、いつかは改葬されてしまう。先祖代々の墓が知らないうちに、事実上“撤去”されるのは避けたい。でも、将来にわたって管理できる人はいない。多くの人を悩ましているのがこの問題だ。

 そこで最近ブームになっているのが「墓じまい」。管理しやすいところに引っ越したり、整理したりすることだ。厚生労働省によると、2017年度は初めて10万件を超え、10年前(08年度)の1.4倍に増えた。

 葬儀や墓地の運営大手ニチリョクの寺村公陽・取締役兼上席執行役員はこう話す。

「墓じまいをテーマに首都圏でセミナーを開くと、毎回、数十人は集まります。相談や問い合わせも増えています。地方に実家のある人が、先祖の墓を自宅近くに移そうとするケースもありますね」

 日本葬送文化学会の福田充会長は、新しい形のお墓を求める動きが強まっているという。

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