昨年、金融商品取引法違反容疑で逮捕され、今年1月に特別背任罪で追起訴されたカルロス・ゴーン日産自動車前会長。3月6日、変装して東京拘置所を出る姿が話題になったが、ファッションデザイナー・ドン小西氏の意見は?
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どう考えてもバレバレだって。テレビでは「メガネでバレた」とか言ってた人もいたけどさ。あたしが考える敗因は、この人からにじみ出るエグさと、姿勢のよさ。このギャグみたいな変装で、偉そうに胸を張りすぎだっつうの。反射材の安全ベストまでピーンと張っちゃって、まるでタキシードの襟みたいに見えてるじゃん。
いつもの癖が出たんだろうね。自分を立派に見せたい政治家が、大きなサイズの背広を着たがるのと同じ。以前、この人が着ていたスーツは高級オートクチュールと思ってたけど、作業着だってこんなに偉そうなんだもん。あれもほんとに高級スーツだったのか、怪しくなってきたよ。
ファッションブランドの日本法人の社長に抜擢された人にもよくいる。むやみやたらに店舗を増やしたりして、目先の数字を上げようとする。で、名声を得たらさようならみたいな。ま、気の小さいことの裏返しだけど、まさか世界最高峰の経営者とされたこの人まで、こんなに小心だったとは……。とにかくこの変装劇で、さらに名声を失ったことは、間違いないようで。
(構成/福光恵)
※週刊朝日 2019年3月22日号