サウナを10倍楽しむためには、健康上の注意点もある。熱くて耐えられないのに無理をしたり、風邪気味で体調が悪いのに入ったりしないことだ。
こうした誤った入り方は少なくないと指摘するのが、総合内科専門医で秋津医院(東京都品川区)の秋津壽男院長。
「サウナは自分より長く入っている人がいるからといって、我慢して入り続けるものではありません。長時間入れば、何キロも走るのと同じくらいの負担がかかります」
サウナの醍醐味(だいごみ)である水風呂も、体に負担がかかることを覚えておこう。いったん上昇した心拍数が急激に低下し、危険な状態に陥る恐れもあるという。
「どんな人でも、今日は体が変だなという日があると思います。そう気づいたときに、『勇気ある撤退』ができるかどうかが大切です。その判断ができる人は何をやっても大丈夫です」
前出の鄭さんも、温度と体調に注意が必要だと訴える。
「サウナは同じ室内でも、場所によって温度が大きく異なります。一般のサウナではベンチの下段は70度ぐらいですが、中段は80度、上段は90度以上になります。自分に合った温度のところに座りましょう。体調が優れないときは控えることが望ましい。出てからゆっくり休むことも大事です」
無理をし続けると、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞など重大な病気につながる恐れがある。昨年亡くなった歌手の西城秀樹さんが、03年にサウナ入浴後に脳梗塞を発症したケースもあった。高血圧などの持病がある人は、特に注意しよう。
ほかにも酒を飲んでから入るのは良くない。アルコールを分解するには水が必要なのに、利尿作用もあるため脱水症状になりやすい。そんな状態で汗を大量にかけば、脱水症状が進んで血液が濃くなり、血栓ができやすくなる。通常でも入る前と後は、十分に水分をとるようにしよう。
施設には体を休めるところや水を飲めるところが必ずある。休息や水分補給などのポイントを押さえつつ、自分流の楽しみ方を追求していけばいい。