「熱いところから冷たいところに移るのは体に負担になりますが、フィンランドの人たちは入り方をちゃんと知っています。早歩きできる人なら、湖に飛び込んでも大丈夫だと考えられています」

 今年は日本とフィンランドの外交関係樹立100周年。フィンランド政府観光局は昨秋から、日本人旅行者向けに「ビジット・フィンランド・サウナキャンペーン」を実施している。サウナを通してフィンランドの生活や文化への理解を深めるもので、日本のサウナブームを後押ししている。

 そんなサウナの体への効果も考えてみよう。日本サウナ・スパ協会によると、

「高温のサウナに入ると、血流が増し脈が速くなる・血圧が上がるなど身体の各器官に機能亢進(こうしん)が起こり、その結果、新陳代謝が活発になり、乳酸などの疲労物質が汗と共に体外に排出されます。循環器系の働きが高まるにつれて、肝機能や自律神経系、副腎の働き、神経ホルモンなども関連し合い、熱気に対応する態勢をつくるのです」

 デトックス効果については、汗の大半は水と塩分なので期待薄だ。サウナに入る前後で体重が減っていても、それは水分が出ただけ。爽快感はあっても、ダイエットに有効とは言えない。

 とはいえ、サウナの効用は再評価されている。心臓病の治療に活用されるなど、改めて注目されているのだ。

 元鹿児島大学教授で和温療法研究所(東京都千代田区)の鄭忠和所長は、サウナを用いた治療に長年取り組む。室内を均等の60度に設定した遠赤外線乾式サウナ治療室で全身を15分間温め、出浴後は30分間保温し、最後に発汗した水分を補給するものだ。60度で全身を温めることで交感神経をあまり緊張させずに副交感神経を亢進させる。

 この和温療法は慢性心不全について有効だと、日本循環器学会のガイドラインでも認められた。12年には慢性心不全に対する「高度先進医療B」として承認された。

「和温療法を行うと、心拍出量が増加し、全身の血液循環が改善する。心不全や閉塞性動脈硬化症、慢性疲労症候群などの治療として行っていて、いい効果が出ています」(鄭さん)

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