“達人”はどのように利用しているのか。日本サウナ・スパ協会から「サウナ大使」に任命された、“マンガ家”のタナカカツキさんに教えてもらった。サウナ中毒になってしまった体験を基に、『マンガ サ道 マンガで読むサウナ道』という作品も描いている。

 取材場所はタナカさん行きつけの「スカイスパYOKOHAMA」(横浜市)。一日の大半はサウナ施設で過ごし、アイデアも考える。サウナにハマるまでは仕事場のパソコンの前に座りっぱなしで、「血行に悪い生活だった」。サウナで全身の血流が良くなり、水風呂に入ることですっきりするという。

「『サウナ→水風呂→休憩』を何回か繰り返します。水風呂を出てぬれた体を拭いているうちに、火照りが抑えられ気持ちよくなる。それから浴場内のいすにゆっくり座ったり、横たわったりするのです」

 呼吸を整え、何もかも忘れて無になる。時間にしてわずか数分でも、心が整理整頓され「整った」感覚が味わえるという。

「私がサウナに行くのは、『冷えた水』を求めるからです。施設の水風呂は冷却装置があるので16~17度ぐらい。一般家庭でそんな低い温度の水風呂はできません」

 サウナに入った後に、冷たい水でクールダウンするのは本場でも同じ。北欧のフィンランドは、人口約550万人に対し200万~300万ものサウナがあるという。神聖な場所として認識され、かつてはサウナ室で出産や死後の遺体を清めることが行われていた。

 父親もサウナ室で生まれたというフィンランド大使館のマルクス・コッコ参事官はこう話す。

「われわれにとってサウナは生活の一部です。友人らを招き『サウナの夕べ』をやることもあります。室内ではみんな裸で社会的地位は関係ない。平等に話せる交流の場でもあるんです」

 日本では一般的に室内が明るく温度も100度近いのに対し、フィンランドでは薄明かりで温度は88度ぐらい。じっくり入った後に水で冷やすが、そばに湖がある場合はそのまま飛び込む。雪の上で寝転んで冷やすこともあるという。

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