「故人の全ての戸籍謄本を、一つの役所で集めることができることはまれです。結婚や転籍などで本籍地を動かしているケースが多く、亡くなったことが書き込まれた一番新しい謄本(除籍謄本)から、戸籍が作られた編製日や改製日などを手がかりに、過去の謄本をたどっていかなければなりません。郵便でもやり取りできるとはいえ、請求してから手元に届くまで2週間くらいかかることもあります」
不動産の登記は法的な義務や申請期限はないが、いつまでも放っておくと権利関係が明確にならずトラブルのもとになる。固定資産税の負担を、遺族間で押しつけ合うことにもなりかねない。
電気やガス、水道などの公共料金、携帯電話やクレジットカードの名義変更や解約も早めに済ませる。契約していた会社に電話や郵送、インターネットなどを通じて届け出る。手続きそのものは比較的簡単だ。そのままにしておくと、故人の口座から基本料や年会費が、知らないうちに引き落とされる。
自動車も名義変更や廃車手続きをしないと、自動車税が毎年故人の名義で請求される。死亡後の名義変更は遺産分割協議書が必要になるので、将来を見据えて元気なうちに家族に名義を変えておくことも考える。
Q3:法定相続情報一覧図って?
A:2017年にスタートしたばかりの制度で、戸籍に基づいて故人の法定相続人が誰かを法務局が証明するものだ。故人の戸籍謄本や住民票の除票、相続人の戸籍謄本など、故人と相続人の関係を示す書類をそろえて法務局に提出すれば、一覧図の写しを交付してくれる。
戸籍関連の書類をそろえる手間が減り、死後の手続きの時間短縮につながる。
Q4:年金の受け取りはいつまでに止める?
A:故人が国民年金を受け取っていた場合は死後14日以内、厚生年金の場合は10日以内に「年金受給権者死亡届」を年金事務所、年金相談センターに提出する。届けには故人の年金証書や、死亡診断書のコピーなどが必要だ。
届けを出さないと、故人の口座に年金が支給され続けてしまう。受給する資格がないのに受け取った年金は、当然返さなければいけない。意図的に死亡届を出さず不正受給すれば、刑事罰に問われることもある。忘れずに期限内に手続きをしておこう。