※写真はイメージです (c)朝日新聞社
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国公立・日程別志願者数/国公立大・学部 系統別志願状況(週刊朝日 2019年2月22日号より)
国公立・日程別志願者数/国公立大・学部 系統別志願状況(週刊朝日 2019年2月22日号より)
難関国立大志願者数(週刊朝日 2019年2月22日号より)
難関国立大志願者数(週刊朝日 2019年2月22日号より)
難関国立大の前期日程志願動向(週刊朝日 2019年2月22日号より)
難関国立大の前期日程志願動向(週刊朝日 2019年2月22日号より)
私大センター利用入試志願者ランキング(週刊朝日 2019年2月22日号より)
私大センター利用入試
志願者ランキング(週刊朝日 2019年2月22日号より)

 2月6日、国公立大2次試験の出願受け付けが締め切られた。今年も文系に志願者が集まり、激戦となりそうだ。志願動向を見ると、難関国立大を目指す受験生の「併願校」だった私大が定員厳格化によって難化していることから、安全志向で東大をはじめ国立大の志願者が減る現象となっている。

【図版】国公立大の出願状況などのデータこちら

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 文部科学省は国公立大の出願状況(2月6日午後3時時点)を発表した。昨年同時期と比較して、国立大は前期・後期ともに減少。反対に公立大では志願者が増加した。河合塾教育情報部の富沢弘和部長はこう見る。

「国立大ではAO・推薦入試の募集人員を増やし、一般入試は減らしている。他方、公立大は学部の新設や私大の公立化などが相次いでいる。私大の定員厳格化の影響で受験生の安全志向は強まり、国立大と比較して難易度が下がる公立大に受験生が集まっています」

 近年は就職状況が良好な文系学部に人気が集まっている。系統別の志願状況を見ると、文系は前年比103%だが、理系は前年比98%。

「模試の動向では、文系の人気にやや陰りが見えたが、センター試験で英語と国語の平均点が高く、文系の志願者が増加したのではないか。今年も『文高理低』で、文系は浪人生も多いとみられ、激戦となりそうです」(富沢さん)

 河合塾によると、文系では法学系や文・人文系の学部が人気で、昨年志願者が集まった経済系の学部は、倍率が上がるのを懸念し、志願者を減らしている。理系で人気を集めているのは、データサイエンスなどの情報系で、今年も厳しい競争になりそうだ。

 東京大や京都大など難関国立10大学の志願動向を見ていこう。東京大、北海道大、東北大など大半の大学で志願者数が減った。駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長はこう分析する。

「早稲田大、慶應大など難関私大の競争が厳しくなり、これまで“押さえ”の位置づけだった私大の合格が難しくなっている。そのため、第1志望の国立大のレベルを落として出願している。特に関西では国公立大志望の受験生が多く、前期日程では京都大、大阪大を避けて、神戸大に流れていると見ています」

 東京大では、文科一類が前年比109%と志願者を大きく伸ばしており、激戦が予想される。反対に大きく減ったのは理科三類で、前年比94%、理科二類も同96%にとどまった。

「理IIIは予定倍率を引き締めたため、門前払いのボーダーラインが高くなると予想されます。そのため、ボーダー付近にいた受験者層が敬遠しました。生命科学系は全体の傾向として人気を落としており、東大でも理IIは比較的入りやすくなっています」(石原さん)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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