左は税務署 (撮影/多田 敏男)、右は市役所の介護保険の窓口 (c)朝日新聞社。控除については税務署、介護費用については自治体の窓口で相談を
左は税務署 (撮影/多田 敏男)、右は市役所の介護保険の窓口 (c)朝日新聞社。控除については税務署、介護費用については自治体の窓口で相談を
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「高額介護サービス費制度」における利用者負担の上限額(月額) (週刊朝日 2019年2月15日号より)
「高額介護サービス費制度」における利用者負担の上限額(月額) (週刊朝日 2019年2月15日号より)

 一度始まると先がなかなか見えないのが介護。将来にわたって必要になる費用を考えると、気持ちは暗くなりがちだ。でも、心配しすぎることはない。国の制度をうまく使えば負担は抑えられる。介護費用を節約する七つの術を紹介しよう。

【「高額介護サービス費制度」における利用者負担の上限額はこちら】

「介護費用というと、300万~400万円ほどかかるというイメージを持つ人が多いです。確かに高額になる部分はありますが、公的な制度を使えばかなりのお金が戻ってくる。やみくもにおそれず、正しい知識を持つことが大事です」

 こう話すのは、ファイナンシャルプランナーで、『親の介護は9割逃げよ』の著書がある黒田尚子さん。

 生命保険文化センターが実施した調査(2018年度)では、住宅改造や介護用ベッドの購入などに使った一時的な介護費用の平均は69万円。将来的に必要だと考える初期費用は、242万円にものぼる。

「家族の介護が始まったときの経済的備えについて『不安』と答えた人が75.2%もいました」(広報担当)

 介護にかかるお金は要介護度が上がり、介護期間が長引くほど増える。国の財政が悪化していることで、今後の制度改正で利用者の負担が増える可能性も高い。だからこそ、正しく節約することが大事なのだ。

「退院後に在宅で介護が必要な場合、入院中に要介護認定をとれば、自宅に戻る前に介護保険で住宅改修費などが出ます。それを知らずに認定をとるのが遅れたため、自費で改修しなければならなかったケースもあります」(黒田さん)

 介護・暮らしジャーナリストで、『親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』の著者、太田差惠子さんも介護のキホンは情報収集だと指摘する。

「どれだけ情報が集められたかで、かかる費用が大きく変わることもあります」

 ここからは、介護とお金の専門家二人が挙げる、節約術を具体的に見ていこう。

(1)早めに要介護認定

 黒田さんが示したケースがこれに当たる。

「認知症や骨折などで入院し、退院後も何かしらの支援が必要である可能性が高い場合は、入院中に病院のソーシャルワーカーに相談し、市区町村の窓口で申請をする。認定がとれれば、住宅改造など初期費用のかなりの部分が介護保険でまかなえます」(黒田さん)

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