負担の上限は所得ごとに5区分に分けられている。施設の入所費や入院の食費、差額ベッド代や生活費、福祉用具購入費などには適用されないので注意しよう。
「対象者には2~3カ月に1回、自治体から通知が来ます。領収書などの提示も求められることがあるので、しっかり保管しておきましょう。さらに医療費と介護費の合算から払い戻しを受けられる、『高額医療・高額介護合算療養費制度』もあるので、医療費も高い人はこちらを利用するといいでしょう」(黒田さん)
(6)医療費控除を使う
医療費控除は、その年にかかった医療費が10万円以上になるときに、その分を控除できる制度。一緒に暮らす配偶者や親族の分も申告できる。
「医療でかかった治療費や薬代に加え、訪問看護やリハビリ、短期入所療養介護などのほか、特別養護老人ホームでかかった介護費や食費などの2分の1も対象です」(太田さん)
医療費控除を受けるには確定申告をする必要がある。過去5年間分までできるので、近くの税務署に問い合わせてみよう。
(7)世帯の分離も検討
“裏ワザ”のような感じもあるのが、「世帯分離」という方法。2世帯以上で同居している場合、親世帯の年収が低くても子世帯の年収がある程度あることで、一つの世帯として課税されていることがある。世帯を分けることで親世帯は非課税になり、医療や介護の負担が軽減されると太田さんは言う。
「お財布(生計)が別なら世帯分離は基本的に可能。役所の窓口で『住民異動届』の手続きをします」
利用できる制度や仕組みは様々。自治体によって使える内容は異なり、毎年のように変更される。ネットなどで調べてもいいが、自分に必要な情報を見極めるのは難しい。地域の包括支援センターや、担当のケアマネジャーに相談するのが一番だ。
制度をきちんと理解し必要なサービスを受けることで、費用だけでなく不安も減らしていける。(本誌・山内リカ)
※週刊朝日 2019年2月15日号