(2)おむつ代を抑える
介護保険は要介護度によって利用限度額が決まり、その1割が自己負担となる。限度額を超えた分は全額自己負担だ。さらに、食事の配達やおむつの費用など介護保険が適用されないサービスもある。太田さんはこの中のおむつの費用に注目する。
「家族が要介護になってから、おむつ代の高さに驚く人もいます。そういうときは利用者の住む地域の包括支援センターで、おむつの支給や助成について聞いてみましょう。サービスを提供していない自治体もありますが、月額5千~1万円ぐらいの補助があるところも」
半年以上の入院でおむつを使っていたら、医療費控除の対象にもなる。購入時の領収書と、医師に記入してもらう「おむつ使用証明書」を取っておき、税務署に申告する。
(3)障害者控除を活用
障害のある人や、その家族の納税負担を減らすための制度で、要介護者でも受けられる可能性がある。
「対象となる基準は自治体で異なりますが、要介護1から認められるところもあります。該当すると『障害者控除対象者認定書』が交付されます。その場合、所得税の控除額は特別障害者で40万円、障害者で27万円。住民税はそれぞれ30万円、26万円になります」(太田さん)
さらに「障害者手帳」の申請も認められれば、タクシーやマッサージの費用補助などを受けられることも。重度の認知症で寝たきりであれば、「特別障害者手当」を受給できる可能性もある。
(4)寡婦(かふ)控除を受ける
寡婦とは配偶者を亡くした妻のことで、こちらも申告すると税の控除が受けられる。
ちなみに寡夫控除もあるが、女性より条件が厳しい。認められると所得税の控除額は27万円、住民税は26万円となる。
「障害者控除も、寡婦(寡夫)控除も意外と知らない方が多い。申告して認められれば、年齢や年収によって住民税が非課税になることもあり、医療費や介護費の負担が軽くなります」(同)
(5)高額負担の軽減も
医療費は「高額療養費制度」によって自己負担額に上限があるが、これと同じく、介護費にも負担を軽減する「高額介護サービス費制度」がある。