「ロンドン大が発行する教科書などの教材で勉強していますが、毎日3時間ほど予習や復習をする必要があります。モチベーションが高くないと続きません。4年次は英語の学術論文を読むなど、大学院生と同等のレベルです」(同)

 経済学科3年の鎌田優樹さんは、都内公立トップ進学校の日比谷高出身。

「国立志望で浪人していたときに、1期生の友人に教材を見せてもらったら、簡単な数式で多くの経済的事象を説明できることに感動し、PDPで学びたいと思いました。世界トップクラスのロンドン大の学位を取得できるのも魅力で、グローバルスタンダードの経済学を日本で学べるのはありがたいですね」

 鎌田さんは1日約5時間勉強し、卒業後は海外の大学院に進学する予定で、「最適通貨圏や経済の統合に関心があり、海外のシンクタンクや世界銀行などの国際機関で働きたい」と語る。

 同じく海外の大学院を目指す渡戸さんは、卒業後について、こんな未来図を描いている。

「ロンドン大の学士号を持っていれば、イギリスの大学院では1年で修士号をとれます。会計学の授業が楽しいので、大学院卒業後は英語と会計学を生かせる仕事に就きたいと思っています」

 気になるPDPの費用だが、ロンドン大の授業料と試験費用を合わせて4年間で約120万円。うち半額が武蔵大の奨学金だから、留学することを考えれば格安だ。また、6週間のセブ島での英語研修の費用約43万円の一部も武蔵大が奨学金として負担。東郷教授は「今後は成績に応じて、全額および半額の奨学金を供与する予定です」と話す。

 渡戸さんはロンドン大の奨学金も受け取っている。

「LSEは世界に通用する大学で、QS世界大学ランキング(経済分野)で東大や慶應大よりも上位です。多くの受験生は大学を国内のみの知名度で選びがちですが、カリキュラムやプログラムといった中身で選ぶと、視野が広がると思います」(渡戸さん)

 愛知県豊橋市の中心部からバスで30分ほどの場所に、国立豊橋技術科学大がある。工学系の学科をそろえ、入学者も主に高等専門学校(中学を卒業した人が入学する5年制学校)の卒業者が3年次から編入する。河合塾の偏差値では45。学生数約1100人と小規模な大学だが、このキャンパスで展開される国際的授業が注目されている。

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