終のすみかである「高齢者ホーム」選びは、就職活動に似ているという。複数見学に行って比較することで、相性を見極めよう。
終のすみかである「高齢者ホーム」選びは、就職活動に似ているという。複数見学に行って比較することで、相性を見極めよう。
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「入居する際に自宅は売却した?」「何歳で入居する人が多い?」。高齢者ホームに関する本はたくさんあるが、実際に入居している人の声を拾った内容は少ない。そこで、週刊朝日MOOK「高齢者ホーム2019」では、入居者150人にアンケートを実施。生の声を参考に、終のすみか選びに役立ててほしい。

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 全国にあまたあるホームの中で、入居を決めたホームを知ったきっかけは何であろうか。多かった意見は、新聞広告や新聞主催のセミナーに参加して。実際に施設長やスタッフとの会話が弾むことで「ここに入居したい」と思う高齢者が多いようだ。

 ホームの情報はインターネットではなく、新聞だったり雑誌の記事を見たりなど、紙媒体を通じて知る人がほとんど。親を心配して「息子や娘が調べてくれた」という声も多く、他には友人や知り合いから紹介を受けてという人もおり、「入居している友人に会いに来たら気に入ってしまった」と答えた人もいた。

■住宅型の増加で元気なうちから入居する人も

 では、実際に入居する年齢は何歳なのか。アンケートの結果、若い人では60歳、最高では95歳で入居しており、平均年齢は78歳。元気なうちから入居できる住宅型有料老人ホームが増えていることもあり、「早めの入居」を選ぶ人もいる。
 
 ホームを選んだ理由の第1位は「立地」。駅近など、生活に便利という声や「老後は海を見ながら暮らしたい」という夢をかなえた入居者も。第2位は「子どもの家から近い」。離れて暮らしたものの、最後は家族を頼る人が多い。
 
 高齢者ホームへの入居は安い買い物ではない。多くの人が「自宅を売却して、入居金にした」と答えたが、「自宅を賃貸にしている」や「ホームに入居しながら自宅も借りており、たまに帰って気ままな時間を過ごしている」という人もいた。

■ホームで生まれる人間関係のこじれ

 生まれも育ちも暮らした環境も違う高齢者たちが、一つ屋根の下に住む。「入ってみたら違った!」という不満の声もたくさんある。
 

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体験入居はすべき?