女性閣僚枠では、金融庁への口利きスキャンダルにさらされた野田聖子総務相に代わって、高市早苗・元総務相の返り咲き、片山さつき氏の抜擢という予想も出ている。
ジャーナリストの歳川隆雄氏はこう解説する。
「片山氏は旧大蔵官僚出身なので、総務相は務まるでしょう。上川陽子法相はオウム真理教の大量死刑執行を実行し、自民党の保守系の人から評価されているので留任です」
だが、女性枠で本命視されるのは、政治資金問題でミソをつけた小渕優子元経産相だ。
「起用に国民の理解が得られるとは思えませんが、入閣させるとすれば目立たないポスト、例えば環境相あたりではないか。小渕復帰の裏には竹下派を抑え、参院のドン・青木幹雄氏をも懐柔できるとの安倍首相の思惑もあるのでしょう」(野上氏)
総裁選前は粛清人事が囁かれていた石破茂氏の派閥からの入閣はあるのか。
「党員の3人に1人は石破氏を支持したわけですから、もはや無視できない。1人は石破派から登用する可能性はある。斎藤(健)農水相はパワハラ告発で揉めたので、かつて厚労相に起用された田村憲久氏の起用もある」(鈴木氏)
防衛相ポストも焦点だ。野上氏はこう語る。
「サプライズ人事を狙うなら当選8回で未入閣の平沢勝栄氏の起用があってもいい。警察官僚時代にはテロ対策を手がけ、防衛審議官などを経験し、手堅い実務型として知られています」
ただ、平沢氏は安倍首相の小学生時代の家庭教師をしていた過去があり、これまで敬遠されてきた。今回も二階氏が平沢入閣を推してくることが確実とされるが、どう対処するか。
人事は後に火種となる危険性をはらむ。来年は統一地方選挙と参院選挙が控えているので、議席を減らせば、安倍政権はレームダック化し、政局の火ぶたが切られる可能性がある。
「安倍さんが失脚して退陣する事態になれば、たちまち石破さんがクローズアップされることになる。石破さんは安倍降ろしの筆頭なわけで、石破さんの処遇も難しい。おそらく、本人的には入閣も党三役につきたいとも思っていないでしょう」(歳川氏)