
セブン‐イレブン・ジャパンが、首都圏の数店舗で生ビールの試験販売を検討していたが、中止になった。
7月17日からの予定で、S100円、M190円と缶ビールより手頃な価格を想定。ビールサーバーが試験店舗に置かれると、たちまちSNSなどで熱い話題に。一杯も提供されずに販売中止が決まり、大反響に泡食う結果となった。
「(販売予定の)お店や本部への問い合わせなど反響が大きく、販売体制も含めて対応が難しいのではということになりました」
セブン&アイ・ホールディングスの広報担当者は、そう説明する。猛暑のさなか、お得で手軽な一杯に、左党の期待は熱かったはず。ただ、店の前やイートインのスペースなどで長時間居座ったり、大声で騒いだり、眠ったり。飲みすぎて吐いたり、店員や他の買い物客にからんだり、車で来店して飲酒運転したり。課題はいくつも想像できる。
マーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏は、こう指摘する。
「コンビニはもはや、地域のインフラですから、社会的責任が大きい。急激な変化は、簡単には受け入れられません。生ビールを売れば、他の食べ物もおつまみとして売れますし、飲むと気が大きくなって財布の紐がゆるむ客もいるでしょうから、他の商品も売れ、店舗の売り上げは伸びるに違いありません。一方、環境の悪化を懸念する人がいるのも当然です。やり方次第では可能性が広がるだけに、中止はさもありなんと思うと同時に残念です」
ウマく進める方法はなかったのか。西川氏は牛丼チェーンの「ちょい呑み」の成功例を挙げ、こう提案する。
「牛丼チェーンのアルコール提供は、別業態の居酒屋スタイルの実験店舗から始めました。段階を踏むことで、会社も社会も慣れ、定着していきました。セブンも既存店にいきなり生ビールサーバーを置くのではなく、トライアルで別業態からスタートすべきです」
西川氏はさらに、既存の店舗よりも大型の店で展開するアイデアを提案する。