過去に何度も対戦したことのある元プロレスラーの前田日明氏も20日、自身がプロデュースする大会「THE OUTSIDER」の会見後、在りし日のマサ斎藤さんを偲んだ。

「マサさんは、すごい武勇伝がある人。本当にプロレスラーとしてのプライドを24時間持っていた。今でも忘れられないのが、親友の(米国人レスラー)ケン・パテラが、米国で警察問題を起こして、警察がモーテルまでパテラを捕まえに来た時、同じ部屋にいたマサさんが訳もわからず殴られたものだから応戦した。そしたら暴行罪で1年くらい入れられたんだよ。でも驚いたのが、あのケン・パテラが刑務所から出て来た時に見る影もない体になってたけど、マサさんは刑務所で鍛えて体をキープしたんだよね」

 マサ斎藤さんは常にプロレスラーとして体を鍛え上げていたという。

「マサさんが学生時代からつながりのある、UWFの社長だった故・浦田昇さんのところに当時フリーだったマサさんがやってきて、『この頃、ウエイトが上がるようになったんだよ!ベンチプレスの記録を更新しちゃったよ』と服を脱いじゃって、でも肉体を見たら10キロ、15キロ増やしてんだよね。40歳過ぎているんだよ?『男性ホルモンが濃いから、ハゲちゃったよ』と笑ってたんですけど」

 もう一つの武勇伝も、前田氏には思い出深いという。

「80年代かな、NFLが来日して2試合か3試合やったことがあって、ケン・パテラとマサさんもたまたまた日本に来ていた。2人が六本木のカフェで食事をしていたら、NFLの選手も偶然やってきた。ある選手がマサさんらを見て『モンキービジネス』と言ったら、マサさんがうわぁとなって、彼らにタックルをかまして馬乗りになってボコボコに。結局、2人けがさせて、(アメフトの)次の試合に出られなかった」

 マサ斎藤さんの人間性は、前田氏も魅了していた。

「選手としてもそうですけど、人間としても素晴らしかった。(プロレス界には)荒っぽい奴が多いんですけど、皆が慕っている。3、4年前にマサ斎藤さんの奥さんと一緒に会ったのが最後で、パーキンソン病のリハビリとかされてて『頑張ってくださいね』と声をかけました」

 豪快で実直。前田氏はマサ斎藤さんのような人間が減ったと感じる。

「マサさんのような快男児、僕の知ってる中でどんどん寿命を迎えられて寂しいですね。今、快男児が見当たらないのが悲しい。ある意味マサさんが見守ってくれて、日本の国もダメだなと思えばまた生まれてくるでしょう。マサさんみたいな快男児というのは、また日本に生まれ落ちるんですよ。なにか事あるごとに」

 マサ斎藤さんの通夜は21日、都内で行われた。この数年、再びプロレス人気が高まっているが、昭和の時代にもこんな豪快なプロレスラーがいたことを覚えて欲しい。(本誌・大塚淳史)

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