うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や3歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた”なっちゃん流教育論“をお届けします。
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私の好きなアメリカンジョークに、こんなものがあります。ゲームばかりやっている息子に、父親が勉強をさせようと言いました。「リンカーンはお前の年のころには、暖炉の明かりで勉強をしてた。それぐらい勉強したんだ」。それを聞いた息子が言い返しました。「パパ、ボクも言っていい? リンカーンはパパの年のころには、アメリカの大統領だったよ」
このジョークからわかるように、大人は、子どもよりお金を持っているから、立場や権力があるから、物理的に力が強いからという理由で、高みにたっていると感じてしまい、上から命令するようなケースがあります。でもそれらは決して「大人が子どもよりも優秀な人間だから」ではないのです。
たとえば、30歳の父親が6歳の息子と意見が食い違い、暴力で脅したら、子どもがかなうはずがなく、当然父親の意見が通るでしょう。でも、それはあくまで「現時点」で力が強いだけの話だということを肝に銘じるべきです。もしその場で、息子が父親と対等の30歳になれたらどうでしょう。筋肉をつけたプロレスラーになって現れたら? 大金持ちになって大勢のボディーガードを引き連れてきたら? きっと息子の意見が通ることになるでしょう。
■「高みにたっている」と勘違いする大人たち
力や立場による意見は、ただの一方的な、ときに恐怖による支配となる場合があります。そして、単純に「生まれたのが早い」だけで、大人側は子どもより高みにたっていると勘違いしてしまうのです。もちろん、経験の豊富さから、間違った行為をしていたら注意して、正しい方向へ導いてあげるのも大人の役割です。しかし、大人が現状で「自分のほうが立場が上である」ことを利用して子どもの将来を勝手に決めたり、未来を潰したりすることは、子どもの弱みにつけ込んだ非常にアンフェアな行為といえます。