さらに、監督は試合後に「自分がやらせた」「(けがをさせた選手は)よくやったと思いますよ」と、公の場でしっかりと発言しています。ここまで大事になるとは思わなかったのでしょうか、非常に軽々しく言い放っていましたが、「自分がやらせた」は精神論の方面で捉えるとまったく意味が通じません。物理的な方向で考えると「知り合いでもけがをさせられるか」も納得がいく発言となり、この時点で自白しているも同然なのです。
けがをさせた選手は、監督やコーチ側に脅され、精神的にかなり不安定な状況だったと聞きます。ここでよかったと思えるのは、関東学生連盟の規律委員会が、非常に論理的に日大側の監督とコーチの発言を論破して説明してくれた点。そして、日大側のコーチと監督が、全く論理的な会見を開けなかったという点です。もし、自分を立場で支配しようとする大人が出現した場合、自分で解決しようと思わずに、迷わず「客観的に判断できる第三者」に頼るというのが、最も合理的な解決法だと思います。
■親の口から放たれた「一人で暮らしなさい」
実は、「高みにたっている」と勘違いした大人が、「自分より弱い立場にいる」子どもを利用して、優位な状況を作ろうとするのは、日常でもしばしば起きている事象です。私も小学生時代、親とけんかして「それならもう一人で暮らしなさい」と怒られたことがあります。もし親が小学生の頃に働いて生活費を稼いで生きていたなら、私もその発言に納得したかもしれません。しかし、小学生は社会的に自立できるほどお金が稼げない立場にあるし、親だって子どもの頃は祖父母から金銭的に養ってもらっていたわけです。そうしたことを棚にあげて親は私の意見を「金銭面の優位で支配しようとした」わけで、あれはかなりアンフェアな発言といえます。ちょっとした喧嘩でよくある、「あんたなんか、もう家から出ていきなさい」も同様で、小学生が突然追い出され、一人で生きていくのは、現在の社会構造的に難解なものです。出て行ったら出て行ったで、捜索願を出され、見つかった後にとことん怒られるでしょう。