Aさんの並外れた分析力と機動力でヒアリングはずんずん進んでいき、大センセイはその内容をしこしこと文章化していった。
「素晴らしい! さすがはヤマダさん。このドキュメントを読んだら、クライアントさんも納得でしょう」
大センセイ、褒められるとおべんちゃらが言いたくなってしまう性格だ。
「いやぁ、苦労しましたよ。でもAさんの頭脳だったら、こんなレポート書くの朝飯前なんでしょうね」
「いやいや、文章書くってこの世で一番コストパフォーマンスの悪い作業でしょう。自分じゃ絶対に書きません。この時代、モノを作る側に回ったら負けですよ」
Aさんはキックオフの時と同じ爽やかな笑顔で、こう言うのであった。
※週刊朝日 2018年6月29日号