「つまり、今回のプロジェクトのミッションを四象限で表現しますと、この左下のクラスターを左上のレベルまでストレッチさせることにあるわけです」
「お、お見事!」
大センセイ、Aさんの鮮やかかつ爽やかなレクチャーを聞きながら、拍手喝采を送りたい気分であった。
さて、球を蹴らないキックオフから約三か月の間、われわれは全国に数か所ある営業所をヒアリングして回ったのだが、営業所の人たちはなんとなくわれわれを恐れている風であった。
Aさんが言った。
「コンサルって因果な商売ですよ。社内の人がやりたがらない改革に先鞭をつけるんです。そりゃ嫌われますよね。僕ら、サンドバッグみたいなもんなんです」
なんだか、かっこいい。
法外な報酬を受け取っているイメージがあったが、それは“殴られ賃”みたいなものだったのか……。