JR東海を取材すると、「提携の話をした事実はない」と否定したものの、同年5月7日に葛西氏が籠池夫妻と面会した事実は認めた。

 さらに黒塗りを剥がすと、稲田朋美元防衛相とその夫・龍示弁護士、二階俊博・自民党幹事長の名前も出てきた。稲田氏も日本会議国会議員懇談会の役員を務める。稲田夫妻が登場するのは、土地貸付料の減額などを近畿財務局と交渉していた16年1月。

 籠池前理事長の妻・諄子副園長が「(龍示弁護士に)昔から顧問弁護士をお願いしている」と近畿財務局に説明。近畿財務局のメモとして<稲田龍示弁護士は自民党の稲田朋美政調会長(当時)のご主人><(稲田氏は)二階俊博総務会長(当時)と親密な関係>という注釈がつけられていた。森友問題を追ってきた文筆家の菅野完氏はこう解説する。

「稲田氏の実父・椿原泰夫氏(故人)は、関西の保守界隈ではどんな活動にも顔を出していた有名人。籠池氏とはその中で出会い、その関係から、稲田夫妻は森友学園の弁護士になりました」

 近畿財務局らが話し合いのために龍示弁護士の事務所を訪れた際の同弁護士の挨拶も記録されていた。

<過去から籠池理事長とはお付き合いがあり、尊敬している>

 しかし、龍示弁護士が森友側に<あきらめるしかない>と発言したことに対し、諄子氏が激怒。近畿財務局に<全く納得できないので、先生にも噛みついた>とぶちまけていた。

 注目すべきは森友学園の理事だった柳澤忠麿氏(故人)だ。大阪護国神社の宮司で、日本会議大阪の議長代行・運営委員長という役職を務めていた。

 森友側が日本会議系の安倍人脈を巧みに利用し、財務省を籠絡したことは記録からも明らかだ。

 前出の菅野氏は「日本会議が組織として動いたわけではない」としながらも、こう指摘する。

「森友事件が明らかにしたのは、日本会議に集まるような保守界隈の人たちが籠池氏の教育理念に共感し、政治的な行動をし、小学校建設を実現しようとしたこと。そこに脅威を感じる」

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