次に「若手に任せる」社会。常見さんによると、若手社員が「仕事がおもしろくない」と離職するのを防ぐため、「大きな仕事、やりがいのある仕事を与えないと、退屈してマンネリ化してしまう。手が届くか届かないかくらいの、ちょっと難しいことをさせよう」と仕事を重くする流れがあるという。
若い発想やエネルギーを取り込む利点は生まれそうだが、経験が足りないのに自信満々になって「一人前」と勘違いすることも。ミッションの重さアピール型の温床だ。上司のフォローがないと、習熟せずに雑な仕事を積み上げるだけになり、要注意だ。
最後は、ほめて伸ばす「ほめマネジメント」。ダメ出しではなく、ポジ出しだ。「企業はそれを合理的だと考えたんです。内発的動機を高めたほうが成果も出る。会社や仕事を好きになってくれるし、いいところを伸ばしたほうが得だ、と。この20年で『ほめ』に走ったと見てます」(常見さん)
この20年間で思いつくワードは「パワハラ」。東京のコンサルティング会社が「パワーハラスメント」の定義を生み出したのが17年前の01年。都内の労政事務所の窓口では、相談分類に「職場の嫌がらせ」という項目を新設した95年の相談数は1114件だったが、02年には3160件に。