さらに伊藤医師らは、このTaTMEを二つのチームで両側から同時におこなうことで、4時間かかっていた通常のISR(一般病院での平均手術時間は6時間程度)に比べて、手術時間を最短1時間半にまで短縮できたという。日本外科学会で発表した報告では2チームの102例での根治切除率は99%。排尿障害など機能障害も出ていない。

「もちろんチーム力に左右されますので、経験豊富な医師たちによるチームで手術をすることが重要です」

 今後、手術ロボットが進化すれば、TaTMEもロボット補助下で、少ないスタッフでの手術が可能になると伊藤医師は話す。

 ロボット手術の第一人者である東京医科歯科大学病院大腸・肛門外科教授の絹笠祐介医師もこう指摘する。

「ISRやTaTMEといった術式をできる病院は、それ自体が強みです。ただ、特殊な技術ですし、誰にでもできる手術ではありません。ロボット手術では、腹腔鏡手術では難しかったおなかからのアプローチによる肛門温存もすごく簡単にできるようになっています。機能温存をしながらがん再発を抑止する高度な術式が、今後、ロボット手術により比較的平易にできるようになっていくでしょう」

(ライター・伊波達也)

週刊朝日 2018年5月18日号

暮らしとモノ班 for promotion
大型セールAmazonプライム感謝祭は10/19(土)・20(日)開催!先行セール、目玉商品をご紹介