うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や3歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた″なっちゃん流教育論”をお届けします。
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2020年の1月でセンター試験が廃止され、次の年から「大学入学共通テスト」という入試制度に変わることとなりました。具体的にどんな点が変わるかというと、マークシートに加えて、国語と数学では記述式の問題が出ることになったのです。
マークシートというのは、はっきりいってしまえばほとんど「受け身」。たとえば、今までのセンター数学は、解き方を誘導して答えを出すという形式でした。1問目から問題を解いていくにつれ、辺の長さや角度が判明していくので「ここは三角関数をつかえば答えが出る」と暗に伝えているのが分かるという……数学の答えの出し方は何通りもあるのに、必ずその解き方でないと点数がとれないようになっていて、とにかく画一的でした。
国語では、選択肢があると消去法である程度は排除できます。AかBか迷っても、「どちらかというとこちらが近い」というあいまいさで点がとれてしまいます。しかし、記述式は自分から積極的に「攻め」ていかなければいけません。しっかりと全体の内容を理解したうえで、キーワードを見極め、「AだからBであり、結論としてCといえる」と論理的に書く必要が出てきます。そのためには、子どもの頃から、論理的思考力を鍛えるのが重要になってきたと感じます。
私が大学生のとき、ガチガチのド理系だと思っていた先生が「言葉を上手に使える人間が得をする。研究内容より言葉が重要だ」と言いました。意外すぎてずっと心に残っているのですが、先生の話は、こういうものでした。もし研究でBさんがAさんより画期的な成果を出したとします。しかし、もし学会でAさんがレベル5の話術で「自分の研究はこのように生かせて素晴らしい」と論理的に主張し、Bさんがレベル2の話術であまりうまく説明できなかった場合、周囲からは結果として、Aさんは5の成果、Bさんは2の成果をあげたようにみえるようになり、Aさんの方が優秀だと評価されるものだ、とのことでした。実際に、就職活動では自分がどれだけ会社にとって有益かをアプローチすることが重要ですし、会社に入ってからも、黙々と仕事をするよりどれだけうまく自分をうりこむかで、昇進や出世が決まることがあります。