ハリルホジッチ氏の解任理由には、選手との信頼関係が薄かったことも指摘されている。それだけに、会見ではこう述べた。
「指導者にとって、信頼関係を構築することは数字でも測れない。最後は指導者の選手に対する情熱、気持ちをストレートにぶつけているかどうか」
城氏は率直に気持ちを伝える西野氏のエピソードを教えてくれた。アトランタ五輪予選のある試合で、雨の中でスライディングしたが、相手にかわされて足がエースの前園真聖氏に当たった。前園氏は負傷交代となり、その時、西野氏にこう声をかけられたという。
「『お前のせいだぞ。絶対に点を取ってこい』と言われたんです。ストレートですよね。その一言で冷静になれた。そのあと点は取ったか? 取りましたよ」
現場の上司としては理想的と六川氏も分析する。
「根っからの現場タイプです。試合に直接関わらない技術委員長に就任すると、『ネクタイにスーツは窮屈でしょうがない。やっぱりグラウンドにいたほうがいい』とぼやいていました」
短期間でチームをどう立て直すのか。〝待望の〟現場復帰を果たした「完璧上司」の手腕が試されている。(本誌・秦正理)
※週刊朝日 2018年4月27日号