妻に「住む場所」を解決金として渡すことが離婚の近道といえる
妻に「住む場所」を解決金として渡すことが離婚の近道といえる
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 100歳人生時代、夫婦岩のように寄り添う生活が理想だが、パートナー関係を解消したいと離婚に踏み切る男性が増えているという。決意したらどんな段取りで進めていけばいいのだろうか。熟年離婚を含め、年間400件を超える離婚相談を受けている弁護士の中里妃沙子さんら専門家に聞いた。

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 スムーズにことを進めるには、やはり戦略が必要だ。ここから離婚を成立させるためのポイントを説明していこう。

(1)家計管理は自分で

 まず、自分が家計を握ること。妻に家計を任せている場合、夫は財産の全体像を把握できていない場合も多い。それでは本当の意味での折半はできない。推測しにくい金融機関などにヘソクリを作られてしまうと、隠されたままになってしまうこともある。どんな保険に入っていて、解約したらいくら戻ってくるのか。株など証券類はないか。自宅に届く郵便物や普段の行動から、取引のある金融機関を把握し、家庭の財産管理を自分で行うことからスタートする。

「離婚がちらついても、夫の財産は自分のものと思い込んでいる妻がほとんど。夫が家計を握ることによって、この思い込みを覆すことが大事です」

 夫婦問題研究家の岡野あつこさんは言う。家計の主導権を自分が握り、妻にお金を渡すようにすれば、妻はお金の流れを把握しづらくなる。給与明細やクレジットカードの明細など、財産に関する資料は、妻の目に触れないようにする。

「“夫が財産を使い切ってなくなってしまうかもしれない”という心理的不安を与えるのは、離婚を早めるのにも効果的。夫がお金を使い切ってしまう前に、なるべく早く離婚して、財産分与額を多くもらいたいと妻に思わせる策です」(岡野さん)

(2)一刻も早く別居する

 財産分与は、同居期間が算定対象になる。つまり、夫のほうが妻より収入が多い場合、別居を早めるほど、自分の取り分が増えるというわけだ。ただし、別居期間中に妻から、生活費(婚姻費用)の請求をされると、支払わなくてはならない。妻から申し立てがあれば支払いは強制力を伴うものとなり、無視していると給与が差し押さえられる場合もある。金額は、算定表をもとに計算されるが、例えば年収1500万円で、妻と子ども2人(高校生)の場合、月々28万~30万円程度。年収1千万円なら月20万円程度かかる。

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