開業時の北陸新幹線。今年3月で3周年を迎えた (c)朝日新聞社
開業時の北陸新幹線。今年3月で3周年を迎えた (c)朝日新聞社
【グラフ1】北陸3県の進学校の関関同立への合格者数
【グラフ1】北陸3県の進学校の関関同立への合格者数
【グラフ2】北陸の高校から京阪神の大学への入学者が減っている
【グラフ2】北陸の高校から京阪神の大学への入学者が減っている
【グラフ3】石川、富山、長野の大学への入学者数
【グラフ3】石川、富山、長野の大学への入学者数

 北陸新幹線の開業で、北陸3県から京阪神の大学への入学者が減っている。京大など難関国立大は大きな影響を受けていないが、「関関同立」など私立大の減少が目立つ。3月に開業3周年を迎えた北陸の新たな“足”が、受験生や保護者の意識を変えている。

【グラフ】こんなに減った!北陸3県の進学校の関関同立への合格者数

 県外の大学の受験者が多い北陸3県の進学校計9校について、関西・関西学院・同志社・立命館の4大学の合格者の合計を、2015年の新幹線開業前後で比較した。単年だと変動が大きいため、直近の2017~18年の2年間平均と、開業前の14~15年の平均とで比べると、3県ともに関関同立の合格者が減っていた(グラフ1、週刊朝日2018年4月13日号「全国2375高校主要大学合格者数総覧」などから作成)。

 例えば、富山の高校3校(高岡・富山・富山中部)は、開業前に約380人いた合格者が開業後に約300人と約20%減った。石川の3校(金沢大附、金沢泉丘、小松)は約15%、福井の3校(高志・武生・藤島)は約10%それぞれ減った。これら9校は京大の合格者も多いが、大きな変化はみられなかった。

 今年の関関同立の志願者数は、北陸に限らずに志願者数全体でみると、同志社が3年連続増となるなど4大学ともに堅調だ。ただ、北陸の受験生のシェアは落ちていると考えられる。

 では、北陸からどの地域の大学への受験者が増えているのだろうか。まず考えられるのは、首都圏だ。

 京都・大阪・兵庫・東京の各都府県内の大学に、富山・石川・福井の各県の高校出身者が何人進学したかを示したのがグラフ2。北陸の進学校9校と似た傾向で、富山と石川の高校から京都の大学入学者が特に減っている。東京の大学入学者は波が多少あるものの、増加傾向が伺える。

 金沢~東京の所要時間は、新幹線開業前の約3時間50分から開業後約2時間半に短縮された。富山~東京は約3時間10分が約2時間10分に縮まった。本数も増えて便利になり、北陸から東京が身近になった。

 さらに、富山の高校から長野の大学への入学者、長野の高校から石川や富山の大学への入学者もそれぞれ増えている(グラフ3)。富山~長野は約2時間40分が約50分に、金沢~長野は約3時間20分が約1時間10分にそれぞれ短縮。新幹線を使えば、通学も可能になった。長野の地元国立大学の信州大はキャンパスが長野、松本、伊那などに分散している。長野の受験生の中には、志望学部によっては金沢大や富山大が通いやすい人もいる。

 北陸新幹線の福井延伸は2022年度、大阪延伸は40年代半ばの見通し。開業時期のずれが、受験生の志望大学選びの意識差を広げそうだ。(本誌・中川透)

※週刊朝日 オンライン限定記事