高橋由伸監督にとって、今年はどこまで我慢した起用ができるかがテーマとなるだろう。二塁手では、吉川尚やルーキーの田中俊の起用。一塁手では、オープン戦での好調を維持している岡本もそうだ。監督は3年契約の最終年だろうが、特にシーズン序盤は結果にとらわれることなく、若手を起用し続けてほしい。先発には菅野、田口がいて、救援陣は前述の通り豊富な駒がある。そして中軸は坂本勇、ゲレーロ、マギーと上質な選手がそろう。若手野手に少々結果が出なくても、ある程度の勝率はキープできるはずだ。1軍での実績のない選手たちが自信をつけて一本立ちできれば、夏以降の優勝争いに大きな力を生むし、勝負所を知るベテランとうまく融合できて秋の優勝争いにつながっていく。

 他球団に目を移すと、リーグ3連覇を狙う広島の先発陣に少々不安が残っていると感じる方もいるのではないか。昨季、勝率1位のタイトルを獲得した薮田が失点を繰り返し、岡田もオープン戦で左足に打球を受けて、調整が狂った。しかし、昨年もジョンソンが離脱した穴を若い投手の成長で見事に埋めていった。野手陣の充実ぶりを見ると、今年も優勝争いの中心と考えていい。

 昨年2位の阪神は若手が育っているし、最下位に沈んだヤクルトも、青木が復帰してオープン戦では相手の隙を突く野球ができている。DeNAも開幕時には先発の駒がそろわないかもしれないが、昨年日本シリーズ進出の自信は大きい。中日は小笠原や若手投手の上積みに期待したい。昨年ほど球団間の戦力差は大きくはない。

週刊朝日 2018年4月6日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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