東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
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状態が上がって球威が増せば、一気に軌道に乗るだろう(c)朝日新聞社
状態が上がって球威が増せば、一気に軌道に乗るだろう(c)朝日新聞社

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、日本球界に復帰した巨人の上原浩治投手の今季について、持論を展開する。

【守備練習に参加する巨人の上原浩治投手】

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 巨人に10年ぶりに復帰した上原浩治が3月20日の日本ハムとのオープン戦で登板した。マウンドに立つ時には東京ドームの大観衆が大いに沸き、試合全体の空気を支配しているようだった。

 投球のほうは本来の姿からすればまだまだだが、入団から間もない初実戦ということを考えれば、上出来だったと思う。打者のタイミングをうまくずらしながら投げられる投手だし、大崩れはない。ただ、公式戦に入った時に少々打たれても慌てないことだ。

 本人も「左足を踏み込んだ時の軟らかさが気になる」と話している日本のマウンドへの対応は、時間がかかるもの。硬くて傾斜があるメジャーのマウンドでは、歩幅を狭めて傾斜を使って投げられる。しかし、日本は傾斜が緩く、踏み出した足がズルッと動くことになる。歩幅を無理に広げて沈み込もうとしても、左足が土にうまくかんでくれないから、今度は体が前に乗っていかない。試行錯誤を重ね、時間をかけて解消していくしかないと思う。

 しかも救援投手の場合は、踏み出す位置の土がメジャーよりも掘れて、自分のステップ位置が気になることもあるだろう。状況は試合ごとに異なるものだから、登板ごとに課題を見つけながら、試行錯誤していくしかない。

 本来の姿になるのは夏場と考えた場合、序盤は多少打たれても、ベンチも辛抱強く使うことだ。幸い巨人にはマシソン、カミネロ、沢村がいる。うまく間隔を空けながら、上原の状態が上がるのを待つ。マウンドにも慣れて、状態も上がってきて球威が増せば、スプリットは文句のつけようのない精度を誇っているのだから、一気に軌道に乗る。

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